アーユルヴェーダの療法のひとつ薬用喫煙の効果と作り方

アーユルヴェーダの治療やディナチャリアでも取り入れられている「薬用喫煙」を聞いたことがあるけれど、効果や方法などが分からないという方は多いのではないでしょうか。薬用タバコは、特にカパ疾患のある方に効果的な療法ですが、体質や時間、季節、体調、場所などを考慮する必要があります。ここで詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

薬用喫煙とは

鼻孔または口腔より薬物の煙を吸入することを薬用喫煙といいます。喫煙と聞くとタバコのイメージがあり、体に悪い気がしますが、薬用喫煙はタバコとは異なるもので、アーユルヴェーダの治療やディナチャリアで取り入れられている療法です。

鼻から吸い込んだ薬用ハーブの煙は、喉頭、胸部へと届きます。アーユルヴェーダにおいてこれらの部位は、油性や冷性を有するカパドーシャが存在する座です。薬用喫煙の煙には、微細な燃焼効果のある薬用成分が含有されていて、それらには温性、浸透性の性質があるため、増大したカパを抑制し、毛細血管を含む通気間に浄化作用をもたらす作用があります。

つまり、鼻、喉頭、耳管、気管、気管支、細気管支、肺胞、肺の間隙組織、および血液に存在するカパやアヴァラムカパを鎮静するため、カパ体質の方や朝や夜のカパの時間、そしてカパが増悪しやすい春に効果的です。

一方、温性の性質を有するピッタ体質の方には相性が悪いため、薬用喫煙は避けた方がいいでしょう。乾性を有するヴァータ体質の方は、油性薬物の喫煙が効果的です。薬物喫煙をする際は、常に場所やドーシャ変遷の時間などを考慮し行う必要があります。

※1日の中で変化するドーシャの時間について詳しくは「アーユルヴェーダにおけるドーシャと時間・季節の過ごし方」でご紹介しているのでぜひ参考にしてください。

薬用喫煙の分類

薬用喫煙は身体組織に対する影響から、軽度、中度、強度に分類されています。また、使用用途によって異なる分類は以下のとおりです。

プラヨーギガ

プラヨーギガの喫煙法は、中等度の強さであり、ドーシャのバランスが整っている方やカパ体質の方にオススメです。ハレーヌカ、プリヤング、ナカ、ケーシャラなど、一般的にプラヨーギカに使用される薬物には、ヴァータとカパを抑制する働きがあります。1日に2回、歯磨きや入浴後、食後、起床後、鼻をかんだあとなどに行ってください。

スニグダ

スニグダ喫煙、すなわち油性薬物喫煙は強さが軽度であり、ヴァータ性疾患およびヴァータ体質の方に有効です。一般的に動物性脂肪やギー、ワックス、ジーヴァカなどの薬物が使われています。1日1回、歯磨き後、排尿・排便後、長時間の座位をとったあと、鼻をかんだあと、あくびをしたあと、笑ったあと、目にギーを点眼したあとなどに行いましょう。

ヴァイレーチャニカ

ヴァイレーチャニカ喫煙は、強い種類の喫煙であり、空気路の方か作用を目的に使用されています。つまり、鼻や喉、耳に影響を与えているカパ性疾患の方に有益です。

シュヴェーター、ジョーティシュマティー、ハリターラなどの薬物が一般に使用されています。1日に3〜4回、入浴後、くしゃみをしたあと、目に軟膏を塗布した後に行いましょう。

カーサグナ

カーサグナ喫煙法は、咳を鎮静するのに役立ちます。一般的に使用されている薬物は、マドゥカ、アジャモーダ、ジヴァンティー、アグル、サルジャカなどです。

シュヴァーサグナ

シュヴァーサグナ喫煙は、喘息患者用の喫煙療法に使用されます。使用される薬物はハリドラー、エーランダ、ラークシャー、マナハシラーなどで、どれかひとつをギーと混ぜて喫煙するのが一般的です。

ヴラナ・ドゥーバナ

ヴラナ・ドゥーバナは、口腔、咽頭、気管などの通気路にできた潰瘍に薬物を燃やした煙を吹き付ける方法であり、浄化作用のある喫煙法です。強い痛みを伴う潰瘍に適応され、多量の分泌を促し、局部の治癒を促します。

ヤヴァ、シュリーヴェーシュタカ、サルジャラサ、グリタなどが一般に使用される薬物です。

薬用喫煙の効果

ここでは薬用喫煙の効果について以下にまとめました。一緒に見ていきましょう。

・鼻、口腔、咽頭および鎖骨より上部にある空気の通路に発生するヴァータおよびカパ性疾患を鎮静する

・乾燥しがちな喉頭、感覚器官、副鼻腔に対し、トニック効果をもたらす

・乾燥による皮脂の過剰な分泌を抑え、若白髪や顔のシミ、脱毛を予防する

・風邪や鼻水、副鼻腔炎、口臭、頭重感、偏頭痛、歯痛、呼吸困難、しゃっくり、嘔吐、居眠り、仮眠、貧血などの症状を緩和する

・精神混乱に有効であり、リラックス効果をもたらす

この他、薬用喫煙は、禁煙したいけれどどうしてもタバコをやめられない方に対しても効果的であるといわれています。

薬用タバコの作り方と喫煙方法

ここでは薬用タバコを作る工程や効果的な喫煙方法をご紹介していきます。

薬用タバコの作り方

ここでは、薬用タバコの作り方を見ていきましょう。

  1. 薬用植物の茎を3〜12本、中指の横指の長さに切り、24時間水の中に浸しておく
  2. 1の茎に喫煙で使用する薬物の硬めのペーストを5回塗る
  3. 2が乾燥したら、再び5回塗り、これを足の親指の太さになるまで塗り上げる
  4. 薬草茎にギーを塗り、日陰で乾燥させる。これを喫煙用として金属か木、または竹で作られた喫煙用パイプにつける

薬物のペーストを塗る際、巻き端を中間部におくのがポイントです。

薬用タバコの喫煙方法

喫煙をする際は、目に障害を与えないように、常に鼻孔ではなく口腔より吐き出すようにしましょう。

頭または鼻にドーシャが増加していたり、病気を生じていたりする場合は、まっすぐに座り、口を開けたまま左右の鼻孔から交互に3回ずつ煙を吸い込むと効果的です。

咽頭、喉頭、気管などの呼吸器系の問題がある場合の喫煙は、口腔より煙を吸い込むようにしましょう。

正しく行うことができれば、鼻、耳、気管および心臓にすっきりした感じを得ることができます。また、喉、頭、胸部が軽くなれば成功です。痰がネバネバしていた場合は、水様化するのが実感できるでしょう。

反対に、できていない場合は、声の調子が悪くなったり、喉に分泌液がたまったり、頭が重くなったりなどの症状が見られるでしょう。

過剰に喫煙をした場合は、感覚器官や運動器官までもが乾燥し、めまいや息切れ、出血性疾患などを引き起こす原因になります。また、上昇した熱が粘膜を傷害し、感染症などに対する抵抗力が低下する恐れがあるので気をつけましょう。

薬用喫煙をしてはいけない場合

以下の項目に当てはまる方は、薬用喫煙は禁忌ですので気をつけましょう。

・18歳以下の人

・妊娠中の方

・頭部に外傷を負っているとき

・白内障などの目の疾患や腹部膨満感、糖尿病、貧血、出血の傾向がある場合

・ジャドの催下療法、催吐療法の施行後

・喉の乾燥、過度の口渇の場合

・睡眠不足や過度の疲労状態のとき

・怒りや悲しみなどの精神状態のとき

・牛乳、ギー、はちみつ、油性の食べ物、魚、酒類、毒性物質を摂取したあと

喫煙をする際は、体質や体調、時間、場所などに注意して正しい方法で行いましょう。

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