アーユルヴェーダの食事法➀6つの味(ラサ)

6つの味

疲れたり頭を使ったりすると、甘いものが食べたくなりますよね。これは、ヴァータが悪化しているため、体がバランスを整えようとしているためです。このように味には性質があり、消化の過程でドーシャに影響を与えています。あなたの体が今求める味はなんですか?ここでは、食べ物の味であなたの体調を把握し、整える方法をご紹介してきます。

6つの味(ラサ)とは?

ラサとは、食物を食べた時に舌で感じる味のことです。甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味の6つの味があり、その味自体が消化の過程でドーシャのバランスに影響を与えるといわれています。

また、アーユルヴェーダでは、一回の食事で6つの味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味)すべてを含むのが理想的。そうすることで、食事の満足感が得られ食べ過ぎ防止にもつながり、適量とバランスが保つことができます。また、生理期間中にも全ての味をバランスよく摂り入れることが理想的な過ごし方といわれるほど重要です。(出典:アーユルヴェーダサロンナビ「ドクターコラム」

一方、味の偏りが激しい食事は、ドーシャのバランスを崩し、消化がうまく行きません。

食物の味の性質とその日の体調(ドーシャの状態)を把握して、食べ物を選ぶことがとても大切。では、味にはどのような性質があり、ドーシャにどんな影響を与えるのでしょうか。以下で深堀していきましょう。

6つの味とその作用

ここでは、甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味が持つ性質とドーシャに与える影響についてご紹介していきます。

甘味(マドゥラ)

甘いもの

甘味は、水要素と土要素で構成され、冷性、重性、油性の性質があります。そのため、乾性を持つヴァータと熱性を持つピッタのバランスを整え、カパを増加させるのが特徴です。カパ体質の方やカパが増加しやすい季節には、甘味の摂取を控えるといいでしょう。

甘味は、米、麦、牛乳、砂糖、大麦、ココナッツ、果実、じゃがいもなどの食べ物に多く含まれています。

全ての味の中で最も栄養があり、体の組織を作ったり、満足感を生んだりする甘味。疲れた時や落ち着きたい時にぜひ取り入れてみてください。

酸味(アムラ)

酸味は、火要素と土要素から構成され、熱性、重性、油性の性質があります。そのため、軽性を持つヴァータのバランスを整え、ピッタとカパを増加させるのが特徴です。
酸味は、酢、梅干、チーズ、ヨーグルト、発酵食品、柑橘類などの食べ物に多く含まれています。

食欲や消化力を高めたい時にぜひ取り入れてみてください。

塩味(ラワナ)

塩味は水要素と火要素で構成され、熱性、重性、油性の性質があります。そのため、冷性を持つヴァータのバランスを整え、ピッタとカパを増加させるのが特徴です。
塩味は、味噌、醤油、塩、昆布、塩漬けした魚、チーズの食べ物に多く含まれます。
消化促進作用があるため、食べ過ぎるとお腹を下しやすくなるので注意が必要です。

辛味(カトゥ)

辛味は火要素と空要素から構成され、熱性、軽性、乾性の性質があります。そのため、重性を持つカパのバランスを整え、ピッタとヴァータを増加させるのが特徴です。
辛味は、ショウガ、にんにく、コショウ、ワサビ、唐辛子、香辛料などの食べ物に多く含まれます。
消化を刺激し滞りをなくしたり、分泌液を増やしたりする働きがあるため、食欲と消化力を高めたい時にぜひ取り入れてみてください。

苦味(ティクタ)

苦味は空要素と風要素から構成され、冷性、軽性、乾性の性質があります。そのため、油性を持つカパや熱性を持つピッタのバランスを整え、ヴァータを増加させるのが特徴です。
苦味は、緑黄色野菜、ニガウリ、ターメリック、シソやコリアンダーなど香味の葉物などの食べ物に多く含まれます。
解毒作用や消化を刺激する働きがあるため、ダイエットやデトックスに効果的です。また、炎症を抑える働きもあるので、胸焼けや風邪気味の時にぜひ取り入れてみてください。

渋味(カシャーヤ)

渋味は空要素と土要素から構成され、軽性と乾燥の性質があります。そのため、重性を持つカパや油性を持つピッタのバランスを整え、ヴァータを増加させるのが特徴です。
渋味は、豆類、渋柿、緑茶、きな粉、根菜、わらびなどの食べ物に多く含まれています。

体液の中の不純物をなくしたり、組織を空にしたりする働きがあるため、苦味と同様、ダイエットやデトックスに効果的です。また、生理痛がひどい時にもぜひ取り入れてみてください。

以上のことから、

ヴァータ体質の人は、甘味・酸味・塩味をとると悪化したヴァータのバランスが整い、
ピッタ体質の人は、甘味、苦味・渋味を摂ると悪化したピッタのバランスが整い、
カパ体質の人は、辛味・苦味・渋味を摂ると悪化したカパのバランスが整うとされています。

特異作用のある食べ物(プラバーヴァ)

食べ物の味は、消化の過程でドーシャのバランスに影響を及ぼしますが、特異作用を持った例外もあります。

代表的な例を挙げるとハチミツです。ハチミツは甘味がありますがカパを増やしません。そればかりか、カパを減らし、痩せやすくなるとまで言われています。

ただし、ハチミツは加熱すると毒になると言われているので、食べ方には注意が必要。非加熱で純粋なハチミツを取り入れましょう。

和食で簡単に6つの味を取り入れられる

食事

すべての味を一回の食事で取り入れるのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、和食はとても優秀。意外と簡単に6味が取り入れることができます。さっそく今晩、このような献立にしてみてはいかがでしょうか。

・ご飯(甘味)

・梅干しや漬物(酸味)

・味噌汁(塩味)

・生姜焼き(辛味)

・サラダ(苦味)

・緑茶(渋味)

食事の際は、仕事をしたりテレビを見たりせずに、食べ物の味に集中しましょう。その日に体が求める味がわかれば、あなたのドーシャの状態もわかってくるはずです。

ドーシャの乱れと6つの味

自分自身の今の身体の状態(ヴァータ、ピッタ、カパの乱れ)がわかると、6味の中でもどの味を多めに取ったらいいか、どの味を控えめにした方がいいかなど、摂るべき味のバランスがわかるでしょう。

とはいえ、本来私たちは、頭で考えなくても、おのずと乱れたドーシャを整える味を欲っしています。たとえば忙しく、ストレスがたまって疲れている時、甘いものを食べたくなりますね。これは、ヴァータが悪化しているため、体がバランスを整えようとしているためです。

このように、最近無性に食べたくなるものがあれば、その食べ物がどんな味でどんな性質のものなのかをみると、自分の身体の状態を知ることもできるのです。普段から自分の体質や体調に興味をもって観察する癖をつけ、身体が欲する味がわかると、食事がさらに楽しくなりますね。

情報:英国アーユルヴェーダカレッジ

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