アーユルヴェーダの食事法 ④ラジャスな食事、タマスな食事

怒った子供

心が不安でいっぱいになったり、攻撃的になって言いすぎてしまったり、なにもやる気がでなかったり、誰でも経験する心の不調。もしかしたら、食事が原因かもしれません。今日あなたはなにを食べたいですか?心に浮かんだ食べ物を思い浮かべながら、コラムを読み進めていくと、今のあなたの精神状態がわかります。それが分かれば大丈夫。一緒に心のお悩みを解決していきましょう。

食べ物は心の状態にも影響を与える

アーユルヴェーダにおいて食べ物は、体だけでなく、心の性質に影響することで、精神や感情にもさまざまな作用をもたらすと教えています。

心の性質とは、サットヴァ(純粋性)、ラジャス(動性/活発性)、タマス(惰性/不活発性)のことです。3つの性質に分けられるため、トリグナと言われています(サンスクリット語で「3」を「トリ」、「性質」を「グナ」と訳す)。

人の精神タイプとして、ラジャスよりの人、タマスよりの人、サットヴァに富んだ人、という見方もできますが、たいていの人は、ラジャスとタマスを振り子のように行ったり来たりしながら、生活していると言えるでしょう。

サットヴァは純粋性と訳され、ドーシャバランスが最もよく、穏やかで健康的な状態とされています。そのため、アーユルヴェーダでは、サットヴァに近い心の状態が理想的と考え、サットヴァを増やす食事を摂るように勧めているのです。

※サットヴァに富んだ食についての詳しい記事はこちら

しかし、生活していく上で、毎日サットヴァに富んだ食事ばかりを摂ることは難しいかもしれません。ラジャスやタマスを増やす食事を控えることで、心の安定を保つことができます。では、どのような食事がラジャスやタマスを増やすのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

ラジャス、タマスな食べ物とは?

ここでは、ラジャスを増やす食べ物と、タマスを増やす食べ物について解説していきます。

ラジャスに富む食べ物

とうがらし

ラジャス(動性/活発性)に富む食べ物は、過度に辛く、酸っぱく、塩辛く、口の中を焼くような刺激が強いものであり、心と体にストレスを与えます。ラジャス的な食べ物の摂りすぎは、激質を増加させるため攻撃的になったり、ピッタとヴァータを増加させ、循環系や神経系の障害を引き起こしたりするため注意が必要です。激辛食品や肉類、ニンニク、玉ねぎなどがラジャスの性質を多く含んでいます。

タマスに富む食べ物

納豆

タマスに富んだ食べ物は、新鮮でなく、味を失い、悪臭があり、前日以前に調理された、あるいは食べ残しの不浄の食物のこと。食べ過ぎることで、惰性やカパを増加させるため、肉体的にも精神的にも重さや無気力さを生み出します。保存食品やレトルト食品、作り置きの食品、腐った食品、油分の多い食品などがタマスの性質に富んだ食べ物です。

納豆や味噌などの発酵食品は、体には良いのですが、精神的にはタマス傾向の食品です。

つまり、肉好きの欧米人はラジャス系、発酵食品などの保存食品を多く摂る日本人はタマス系といったように、国民性を食べ物の性質に当てはめて考えることもできます。

ラジャス、タマスな食事は、心にどんな影響をおよぼす?

ラジャスに富む食事を食べすぎると、心もラジャスを増やし、批判的・攻撃的になります。一方、不活発性のタマスを含んだ食事(冷凍やレトルト食品など)を摂りすぎると、怠惰的、閉鎖的、抑うつ的になり、ねたみや恨みの感情に溺れてしまう傾向になりがちです。

とはいえ、ラジャスやタマスに富む食べ物を摂ってはいけないわけではありません。

そういう性質や作用があることを知ったうえで、摂りすぎに注意することが大事なのです。

ラジャスに富んだ食事をとると、攻撃的になりますが、元気がない時(タマス傾向の心のとき)は、ラジャスを多めにとると活動的になります。

また、摂りすぎたな、と思った時は逆の性質のものを摂ってバランスを調整することもできるのです。

心や体と相談しながら食事に向き合おう

ハート

これまでお話してきたように、食は心も体も作ります。何を食べるか、だけでなく、どのように食べるか(どのように調理するか)という食への姿勢も心身に影響するということです。

万人にとって良い食べ物、悪い食べ物というものは基本的にはありません。

カパ体質の人が控えた方がいい食物でも、ヴァータ体質の人にはお勧めだったりするのです。

このように全ての食物は、薬にも毒にもなり得ます。自分のドーシャがどのタイプなのかを知り、今の心身の状態をじっくり観察すること。つまり、ご自分の心や体と相談しながら食事に向き合う、そんなふうに捉えてみてはいかがでしょうか。

※ご自身の体質(ヴァータ・ピッタ・カパ)を知りたい方は、こちらでどうぞ!

情報:英国アーユルヴェーダカレッジ

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