アーユルヴェーダの食事法 ②6つの性質(グナ)

野菜

食事の性質と心身に与える影響とは

なんだか憂うつな気分だったり、体の乾燥がなかなか治らなかったり、そんなときみなさんはどうしますか?アーユルヴェーダには、食べ物にある6つの性質を活用して、体質や体調に適した食事法の智慧があります。ここでご紹介していくのは、日常ありがちな問題も食事で解決する方法。今日のあなたに適した食事を、食材の性質を意識して選べるようになりましょう!

6つの性質(グナ)の分類

食べ物には、6つの性質(グナ)があり、ドーシャ(生命エネルギー)に影響を与えていると言われています。これは、「似たものが似たものを増加させ、異なるものが異なるものを減少させる法則」に従っています。6つの性質(グナ)とは、重性、軽性、油性、乾性、熱性、冷性です。以下でひとつずつ見ていきましょう。

重性の食べ物とドーシャへの影響

重性の食べ物は、チーズ、ヨーグルト、小麦などがあてはまります。

ヴァータとピッタのバランスを整え、カパを乱す作用があるため、カパ体質の方、またはカパが乱れている時は摂取を控えた方がいいでしょう。

一方、ヴァータやピッタのドーシャが乱れている場合は、積極的に摂りいれることで体調を整えてくれます。

軽性の食べ物とドーシャへの影響

大麦、ホウレンソウ、コーン、りんごなどが軽い性質の食べ物です。

重性とは反対に、カパのバランスを整え、ヴァータとピッタを乱す作用があります。カパが増加している時に積極的に摂取するようにするといいでしょう。ダイエットの際にも効果的です。

油性の食べ物とドーシャへの影響

油性の性質のある食べ物はチーズや牛乳などの乳製品や油です。

ヴァータとピッタのバランスを整え、カパを乱す働きがあります。乾燥しやすいヴァータの季節や、体力を消耗しやすいピッタの季節に積極的に摂るといいでしょう。

乾性の食べ物とドーシャへの影響

大麦、コーン、じゃがいも、豆類などは、体を乾燥させる性質がある食べ物です。油性の性質を持つカパのバランスを整え、ヴァータとピッタを乱す働きがあります。揚げ物を食べ過ぎた次の日などに効果的です。食べ過ぎは、体を乾燥させ、ヴァータやピッタを乱してしまうので気を付けましょう。

熱性の食べ物とドーシャへの影響

スープなどの温度の高い飲食物やスパイスは、熱性の性質を持つため、ヴァータとカパのバランスを整える働きがあります。寒い冬や、疲労でヴァータが乱れている時などに効果的です。一方ピッタを乱す働きがあるので、イライラしている時や体に炎症がある時などは、スパイスは控えめにするなど、調節してみるといいでしょう。

冷性の食べ物とドーシャへの影響

アイスなどの冷たい飲食物、緑黄野菜、きゅうりなどは冷性の食べ物であり、熱の性質を持つピッタのバランスを整えます。暑い夏や初秋に積極的に摂取することで、体内に溜まった熱を冷ますことが可能です。しかし、冷性の食べ物の食べ過ぎは、ヴァータとカパを乱すので注意しましょう。

以上のように、私たちの身体は食事をすることで、食物の性質の影響を受けているため、体質や、体調によって食事を意識する事が大切です。それだけではなく、食べ物の6つ味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味)にもそれぞれ性質がありドーシャに影響を与えます。

※6つの味の作用についてはコチラ

体質と食物(味と性質)

6つの味、6つの性質を体質別にまとめるとこのようになります。

ヴァータ体質の方に効果的な味と性質

乾性、軽性、冷性、動性などの性質を持つヴァータ体質の方の場合、重性、油性、熱性で潤滑性のある食物を多めにとると良いです。カロリーも十分にとるべき、とされています。

食品は、甘味、酸味、塩味のあるものがオススメ。渋味や辛味、苦味の多いものは控えましょう。

ピッタ体質の方に効果的な味と性質

熱性、鋭性、軽性などの性質を持つピッタ体質の方の場合、重性、冷性、油性の食物で、比較的カロリーも十分に摂ると良いとされています。シソやパクチーなど芳香性のある食物も良いでしょう。

甘味、苦味、渋味のものを優先的に摂り、辛味、塩味、酸味などの刺激のある食べ物の食べ過ぎは控えた方が良いです。

カパ体質の人に効果的な味と性質

重性、油性、冷性などの性質を持つカパ体質の方の場合、軽性、乾性、冷性、さらに粗大性(麩菓子のように中がスカスカのもの)の食べ物が良いとされます。また、消化がゆっくりなため、消化の早いカロリー低めの食事が好ましいです。辛味、苦味、渋味のある食べ物を優先的に摂り、甘味、酸味、塩味のある食べ物の食べ過ぎは控えましょう。

※ご自身の体質(ヴァータ・ピッタ・カパ)を知りたい方は、こちらでどうぞ!

「アーユルヴェーダ体質診断テスト」

味と性質は調理法次第でも調整可能

食べ物には、6つの性質と6つ味があり、それぞれドーシャに影響を与えるということについて解説していきました。しかし、こうした作用は、調理法の違いによって変化することもあります。以下で例を挙げたので見ていきましょう。

冷性な食べ物でヴァータを整える調理法

冷性の性質のある食べ物は、本来ヴァータやカパ体質の方は控えた方が良いと言われています。しかし、油で炒めたり、油性のドレッシングをかけたりすることでヴァータを整えることが可能です。カパ体質の方は、茹でたり焼いたりすると良いでしょう。

油性のある食べ物でカパを整える調理法

油性を多く含む油っぽい食事は、本来カパを乱すのでカパ体質の方は控えた方が良いと言われています。しかし、スパイスの効いたカレーをまぶせば緩和され、軽くなり、カパ体質の方にも相性が良くなります。また、焼くことで、カパを整えることが可能です。

ピッタ体質に適した調理法

蒸し料理はピッタ体質の方に相性の良い調理法です。ピッタ体質の方は、野菜などを新鮮な生の状態で食べるのも良いですが、消化力が高い状態の時に限ります。ピッタが悪化し、下痢や消化力の低下の症状がある場合、蒸し料理を取り入れてみると良いでしょう。一方、焼くとピッタを悪化させるので注意が必要です。

食べ物は、摂り方次第で薬にも毒にもなる

食事

自分自身の体質を知り、体調の乱れをよく観察し、さらに食物の6つの味、6つの性質を意識して食事をしてみましょう。そうすることで食べ物は、私たちにとって薬のように働き、身体と心のバランスを整えてくれます。

本来わたしたちは、ドーシャのバランスが乱れた場合、その乱れたドーシャを鎮静する味や性質の食物を体が欲するはずです。

ところが、ドーシャが乱れすぎて心身のバランスを崩すと、身体の声が分からなくなり、さらにドーシャを乱す食べ物を食べたくなることもあるでしょう。つまり、身体が欲するものと、食べたいものがいつもイコールとは限らないのです。

そんな時にアーユルヴェーダの智慧はとても役立ちます。

意識して日々の食事にとりいれ、自分で自分の体調を整えることができるのですから。

情報:英国アーユルヴェーダカレッジ

関連記事

ページ上部へ戻る