アーユルヴェーダの食事法 ⑦旬のものを食べる「身土不二」

稲穂

アーユルヴェーダから分かる旬のものを食べるメリットのご紹介

私たちは、技術の発展により、ほとんどの食材を1年中手に入れることができます。「旬の食材とは?」「取り入れるメリットとは?」と疑問に思う方も多いようです。実は、旬の食材を取り入れることは、美味しく効率的に必要な栄養素を摂取できるだけではありません。ドーシャ(生命エネルギー)にまで影響するため、アーユルヴェーダにおいても、勧められてきました。以下で詳しく見ていきましょう。

からだと土はおなじ、身土不二とは

広く言われていることですが、アーユルヴェーダでも地産地消をすすめています。

現代の日本社会では難しいかもしれませんが、本来は居住地の周囲2キロメートル以内でとれた植物をとることが体に良いようです。

植物は、その環境に耐えられるよう生育しています。ですから「私」と同じ環境で育っている植物は、そこに住む「私」の身体にとって、必要なものを作っているといえるのです。

つまり、近くでとれた植物を頂き、その栄養素を摂るのが理にかなっているということ。

からだと土はおなじです。東洋医学ではこれを「身土不二」といいます。

周囲2キロ以内というのは難しいですが、ご自分の住む地域特産のものなど、いま一度見直してみてはいかがでしょう。

旬のものを食べるメリットとは

今では温室栽培の野菜や外国からの輸入品がたくさん出回っているので、私たちの食卓はまったく季節感がなくなりました。

そんな現代においても、旬のものを食べることのメリットはたくさんあります。

美味しいだけなく栄養が豊富

旬の食材は、旨みが詰まっていて、味が濃く、美味しいのが特徴です。さらに、同じ食べ物でも、他の季節と比べると栄養価が2倍以上あると言われています。

つまり、時期に応じて体が必要とする栄養素を、美味しく効率的に取り入れることが可能です。

価格が安くお財布にやさしい

旬の食材は大量に採れるため、価格が抑えられ、比較的安く購入できるメリットがあります。一方、季節外れの食べ物は、ハウス栽培などで光熱費や手間がかかり、価格が高くなってしまうのです。

季節を楽しめる

四季のある日本。旬の食材をいつもの食卓に加えることで、新しい季節の到来を料理で表現することができます。食事から四季の変化を感じたり、次の季節へ思いを馳せたり、1日の中に小さな幸せを与えることができるでしょう。

体のバランスが整って来れば、その時期・その場所で一番おいしいものが、自然とわかるようになります。忙しい時こそ季節の食べ物を取り入れてみるというのもオススメです。

季節と食欲の深い関係とは

なんとなく夏は食欲がなくなるという感覚がある方は多いようです。逆に、冬はお餅など重い性質のものがおいしく感じるのではないでしょうか。
このように季節と食欲(消化力)には深い関係があります。
基本的には、消化力が落ちるのが夏で、消化力がアップするのが冬。最近はエアコンが完備されていて、季節を感じにくくなってきている可能性もありますが、それでもやはり夏は暑いし、冬は寒いものです。

四季のドーシャの変化を意識する

さて、四季にドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)が関係しています。
寒暖の差だけでなく、もっと微細なその季節特有のエネルギーのバランスの変化というものがあるのです。

例えば、春(3~5月)はカパが悪化し、梅雨(6月)など季節の変わり目には、全体のドーシャバランスが乱れます。夏(7~8月)はピッタが上がり、秋から冬にかけては、めまぐるしくドーシャのバランスが変動し風邪をひきやすい季節です。

台風期にヴァータが上がり、それが去ってカラッとすると、夏に蓄積されていたピッタが顔をだし増悪しはじめます。

そして、その後の初冬(11〜12月)、消化力が上がる季節がやってくるのです。これが日本の「食欲の秋」かもしれません。アーユルヴェーダの古典では、この時期に食事制限をすると体力が奪われ、ヴァータが増悪するといわれています。

四季のドーシャに合わせた食事方法

野菜

季節の過ごし方についてはアーユルヴェーダでとても詳しく記載があります。これをリトゥチャリヤと言い、季節にあった食事方法についても説明しています。

冬に旬の食材でヴァータを鎮静

ヴァータが増える冬、冷えや便秘などの悩みを抱える方が多くなります。

ゴボウやレンコン、大根、人参などの冬の根菜には、こういったヴァータの症状を軽減させる栄養素が豊富に含まれています。

春に旬の食材でカパを整える

春は冬の間に体内に溜まったカパが溶け出す季節。

春の野菜と言えば、菜の花。その特徴的な苦味には、デトックス効果があり、カパのバランスを整える働きがあります。

夏に旬の食材でピッタを整える

暑い夏はピッタを高めます。そのため、夏野菜でこもった熱を鎮静することが大切です。特に夏のトマトは味が濃く、ピッタ鎮静に相性抜群でしょう。

寒い季節には体を温める食物、暑い季節には体の熱をとる食物が適しています。そして、その時期に、その国でとれる旬のものが、体のドーシャバランスを整えるには一番なのです。

みなさんの食事にも季節の食材を取り入れ、健康な心と体で季節の変化を楽しんでいきましょう。

情報:英国アーユルヴェーダカレッジ

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